フリーランスの獣医師と一口に言っても、働き方や社会に求められる役割は様々です。
今回のコラムでは、フリーランス獣医師のお仕事の中でも
・代診
・ピンチヒッター(代替スタッフ)
・その他(専門病院・企業案件)
の3点について解説していきたいと思います。
フリーランスの定義については過去のコラム「フリーランスの獣医師とは」をご参照ください。
VFAにお問い合わせ頂いた中で最も多かった依頼が、院長先生おひとりで診療されている個人病院からの代診の依頼でした。
個人経営の動物病院では主に、
・診療が混雑する日のヘルプ
・院長不在時の代診
の2つの働き方が求められます。
例えば、はじめは病院が混雑する日にサポートとして診察をして、慣れてきたら院長不在時の代診を任せてもらうといった働き方です。
週1日や2週間に1日などの少ない頻度でも、1年2年と続けていくと担当の患者さんが増え、獣医師としての使命感も養うことができます。
特に、「また1週間後に来てくださいね。」「また2ヶ月後に検診に来てくださいね」などといった再診の取り方ができる慢性の内科疾患(皮膚疾患、循環器疾患、消化器疾患、内分泌疾患など)の症例は急性期を除いて積極的に担当になることも可能です。
今回解説する3つの働き方の中で代診は最も需要が高く、報酬帯も比較的高額な傾向があります。
この働き方が求められる背景には、日本での個人動物病院の割合の多さや常勤獣医師の雇用コストなどが挙げられますが、詳しくはまた別のコラムで解説したいと思います。
常勤の先生が産休・育休などで1年間お休みされるといったタイミングで依頼が来るのがピンチヒッター(代替スタッフ)としての働き方です。
代診と異なり獣医師が複数名いる大きな動物病院でも依頼があります。
ピンチヒッターとして働く際は
・予防接種や軽症疾患の診療
・レントゲン検査や採血などの検査
・手術中の麻酔管理
など、獣医師免許と臨床経験があればある程度任せられるような働きを求められることが多いように思います。
フリーランスの獣医師は1日のみの超短期契約が可能です。
例えば、常勤の先生が急病で休んだ時のピンチヒッターとして「1日だけ契約してください」といった依頼にも対応出来るのです。
もちろんスタッフの1人として一般診療にあたることも可能ですが、常勤の先生が多い動物病院では、契約社員の自分があえてリスキーな重症例や学びの多い症例を診療することは求められていないのです。
一見すると消極的でネガティブなイメージを与えてしまうかもしれませんが、僕はこの働き方に社会的な意義を感じます。
急病や冠婚葬祭、産休・育休などのライフイベントの時に安心して休みが取りやすくなることで、獣医師の働き方はもっと良くなるはず!
困ったときのピンチヒッターは重症疾患などの診療に自信のない方や臨床経験にブランクのある方にもオススメの働き方です。
代診やピンチヒッターとして働く中でもたくさんの経験を得られますが、獣医療の専門的な知識を学ぶ機会が多いのが専門病院での研修です。 具体的な例を挙げると、
・オペ助手や診療補助
・超音波検査や血液検査などの臨床検査
・画像診断施設でのCT,MRI検査
などなど、他のお仕事に比べて報酬そこまで高くなくても、かけがえのない知識や経験を得られるのが特徴です。
最近は有給研修医を採用するところも増えていますし、自分のスケジュールを自由に調整できるフリーランスの働き方と相性はいいと感じています。
また、フリーランスとして活動していると企業案件のお問い合わせなどもあります。
・ペット情報サイトの記事の執筆や監修
・ペット情報Youtubeの出演
・ペット関連イベントでの登壇
など、飼い主さん向けのコンテンツに獣医療知識を還元するような内容になります。
携わることで社会に貢献できるかどうか、しっかり見極めた上でお仕事を受託していきましょう。
一般診療のフリーランスのお仕事において、求められる役割は動物病院によって様々です。 上にあげた例のように、院長の代わりに一人で診療を行う日もあれば、 一スタッフとして一般診療にあたったり、一時的な人員のヘルプでひたすら臨床検査を行うこともあります。
一般診療のフリーランス獣医師には医療的な知識はもちろんですが、動物病院の文化を尊重し求められる役割をこなす柔軟性もとても大切なスキルです。
また、病院の治療方針や文化を横断的に学ぶ事ができるのがこの働き方の良い面であると思います。
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